毎年、新卒採用の計画は立てている。
スケジュールを決め、ハローワークや学校に求人を出し、説明会や選考も行っている。それでも、「思うように応募が集まらない」「内定まで進まない」「入社後にミスマッチが起きる」と悩む中小企業は少なくありません。ほとんどがそうだと言ってもいいでしょう。
採用担当者がほかの業務を兼務し、限られた時間のなかで試行錯誤している企業も多いでしょう。
それでも結果につながらないとしたら、見直したいのは担当者の頑張り方ではありません。新卒採用計画そのものが、成果につながりにくい設計になっている可能性があります。
株式会社まちづくり観光デザインセンターでは、企業の採用支援だけでなく、学生の就職活動も支援しています。
TikTokなどを通じて日々触れている学生の価値観や就活観も踏まえ、「企業がどう採用したいか」と「学生からどう見えているか」の両方の視点から採用を考えていることが私たちの特徴です。
この記事では、その視点をもとに、中小企業の新卒採用計画がうまくいかなくなる理由と、自社に合った計画へ見直すためのポイントを解説します。
この記事で分かること
- 新卒採用がうまくいかない原因は、採用手法だけでなく計画の設計そのものにある
- 採用計画は、採用する目的や求める人物像から整理することが重要
- 自社に合った採用人数・手法・スケジュールを組み立てることが、ミスマッチや早期離職の防止につながる
新卒採用計画がうまくいかないと感じる背景

「求人は出している」「説明会も開催している」「毎年、採用スケジュールも作っている」。
必要なことは一通りやっているのに、なぜか応募が集まらない。採用できても、数年で辞めてしまう。そんな状態が続くと、求人媒体を変えたり、説明会を増やしたりと、新しい施策に目が向きやすくなります。
しかし、施策を増やす前に確認したいのが、そもそもの採用計画が自社の採用につながる形になっているかです。
成果が出ない原因は「やり方」ではなく「考え方」にある
新卒採用がうまくいかないと、「求人媒体が悪かったのではないか」「説明会の回数が少なかったのではないか」と、やり方に原因を求めがちです。
もちろん、採用手法の見直しが必要な場合もあります。しかし、その前提となる考え方が整理されていなければ、手法だけを変えても同じことを繰り返しかねません。
たとえば、「若手が足りないから新卒を採用しよう」と決めても、その人に何を任せ、数年後にどのような役割を担ってほしいのかまで考えられていなければ、採用したい人物像はぼんやりします。
その状態では、求人票や説明会で何を伝えるべきかも定まりません。
採用活動は、求人を出したところから始まるのではなく、「なぜ自社は新卒を採用するのか」を考えるところから始まります。
計画を立てているつもりでも機能していない理由
採用計画というと、「○月に求人を出す」「○月から面接を始める」といった年間スケジュールを思い浮かべるかもしれません。
しかし、予定が決まっていることと、採用計画が機能していることは別です。
採用の目的や求める人物像が曖昧なままでは、スケジュールどおりに進めても、採用したい学生との接点をつくれない可能性があります。
また、採用担当者だけが計画を把握していても、経営者や現場、面接官の認識が違えば、選考の途中で判断がぶれることもあるでしょう。
つまり、採用計画とは単なる年間予定表ではなく、採用の目的から入社までを一つにつなげるための設計図です。
予定を埋めることが目的になっていないか、一度確認してみる必要があります。
中小企業ほど“場当たり採用”になりやすい背景
中小企業では、採用だけを担当する専任者を置けないケースも珍しくありません。
総務や人事がほかの仕事と兼務していたり、現場責任者が面接を担当したり、ときには社長自身が採用活動の中心になったりすることもあります。
すると、日々の業務を優先するなかで、
- 昨年と同じ時期になったから求人を出す
- 応募が少ないので、急いで新しい媒体を探す
- 面接の直前に現場へ協力を依頼する
- 採用できなければ、翌年また同じ流れを繰り返す
といった“場当たり採用”になりやすくなります。とにかく採用すればいいんだ!と学生の人柄や能力よりも計画した人数を何とか確保したらよいという考えになってしまうこともあるでしょう。
これは、担当者の能力や努力の問題ではありません。限られた人員で採用する企業ほど、担当者個人の頑張りに頼らなくても動ける計画が必要です。
忙しい中小企業だからこそ、「その都度考える採用」から「最初に考えておく採用」へ切り替えることが、採用活動を見直す第一歩になります。
中小企業の新卒採用計画で起こりがちなつまずき

新卒採用がうまくいかない企業には、いくつか共通するつまずきがあります。
一つひとつを見ると、「毎年そうしているから」「ほかの会社もやっているから」と、特に問題を感じないことかもしれません。
しかし、こうした小さなズレが重なることで、時間や費用をかけているのに採用につながらない状態が生まれます。
自社の採用活動を振り返りながら確認してみてください。
採用人数の根拠があいまいなまま進んでしまう
「今年は3人採用したい」「若手を5人くらい増やしたい」。
採用人数を決めていても、なぜその人数が必要なのかまで整理できていないケースがあります。
大切なのは、人数そのものではありません。
事業計画や現在の人員構成、退職の見込み、配属先、教育できる人数などを踏まえて、「なぜ今年、この人数を採用するのか」を説明できることです。
採用人数の根拠が曖昧だと、予定人数を確保することが目的になり、入社後の配置や育成とのズレも起こりやすくなります。
「採れるだけ採る」でも「とりあえず○人」でもなく、自社が迎え入れ、育てられる人数から考える必要があります。
前年踏襲のスケジュールが前提になっている
「昨年はこの時期に求人を出したから、今年も同じでいいだろう」。
毎年の採用業務を効率よく進めるうえで、前年のスケジュールを参考にすること自体は悪くありません。
ただし、学生の動きや自社の採用状況が変わっているのに、日程だけを前年から引き継ぐのは注意が必要です。
昨年、応募が集まらなかった。内定を出しても辞退が続いた。それでも同じ時期に同じ活動を始めれば、同じ結果になる可能性があります。
「去年こうしたから」ではなく、「今年採用したい学生といつ、どこで接点を持つ必要があるのか」からスケジュールを考えることが重要です。
採用手法を何となく選んでしまう
求人サイト、合同説明会、学校訪問、SNS、紹介など、新卒採用にはさまざまな手法があります。
選択肢が多いからこそ起こりやすいのが、「有名だから」「他社も使っているから」という理由だけで選んでしまうことです。
どの採用手法にも、向いている企業とそうでない企業があります。
たとえば、採用したい学生像や伝えたい自社の魅力によって、適した接点のつくり方は変わります。
大切なのは、流行している手法を取り入れることではなく、自社が採用したい学生に届く手法を選ぶことです。
手段から考え始めると、「求人を出した」「イベントに参加した」という実施そのものが目的になってしまいます。
現場や面接官との認識が揃っていない
採用担当者は「主体的に動ける学生を採りたい」と考えている。一方、現場では「素直に教わってくれる人がいい」、社長は「将来会社を引っ張れる人がほしい」と考えている。
このように、社内で求める人物像が揃っていないこともあります。
認識がバラバラなまま選考を始めると、面接官によって評価が変わり、「一次面接では高評価だったのに、最終面接ではまったく評価されない」といったことも起こりかねません。
学生に伝える会社の魅力や仕事内容にもズレが生まれます。
採用担当者だけで計画を完成させるのではなく、経営者や配属予定の現場も含めて「どんな人を、なぜ採用するのか」を共有しておくことが必要です。
学生とのコミュニケーション不足が招くミスマッチ
採用する側は、仕事内容や待遇について十分説明したつもりでも、学生が同じように理解しているとは限りません。
特に新卒採用では、学生に社会人経験がないからこそ、「入社後にどんな仕事をするのか」「どんな人たちと働くのか」を具体的にイメージできる情報が重要になります。
企業が伝えたいことだけを一方的に説明し、学生が知りたいことを拾えていなければ、認識のズレを残したまま選考が進んでしまいます。
その結果、内定辞退だけでなく、「思っていた仕事と違った」という入社後のミスマッチにつながることもあります。
採用活動は、企業が学生を選ぶだけの場ではありません。学生にも自社を正しく知ってもらい、お互いに合うかを確かめる場です。
大手就活サイトや就活イベントに費用をかけても結果が出ない
「大手の就活サイトなら学生が集まるだろう」「大規模な就活イベントなら応募につながるだろう」と考え、高額な掲載料やブース出展料をかける企業もあります。
もちろん、大手就活サイトやイベントへの出展そのものが悪いわけではありません。
問題は、「有名なサービスだから」という理由だけで大きな予算を投じてしまうことです。
多くの企業が掲載・出展する場所では、中小企業がただ参加するだけでは学生に見つけてもらえないこともあります。
誰に会いたいのか。その学生に何を伝えるのか。接点を持ったあと、どのように応募や選考につなげるのか。
そこまで設計せず、百万単位の費用をかけても、「ブースには来てもらえたが応募につながらない」「掲載したものの反応がない」という結果になりかねません。
採用費を増やす前に考えたいのは、その費用が、自社が採用したい学生との接点をつくるために本当に必要なのかです。
「いくら使ったか」ではなく、「なぜその手法にお金を使うのか」を説明できる採用計画にすることが重要です。
新卒採用計画を見直すときに整理すべき5つのポイント

新卒採用計画を見直すといっても、すべてを一度に変える必要はありません。まずは、自社の採用について「なぜ」「誰を」「どのように」と順番に整理していくことが大切です。
ここでは、中小企業が新卒採用計画を見直すときに押さえたい5つのポイントを紹介します。
①見直すべきは「スケジュール」ではなく「設計」
採用計画を見直す際、「求人を出す時期を早めよう」「説明会を増やそう」とスケジュールから考え始めてしまうことがあります。
しかし、その前に整理したいことがあります。
| 整理すること | 考えたいこと |
| ①なぜ採用するのか | 欠員補充なのか、組織の若返りなのか、将来を担う人材を育てたいのか |
| ②どんな人を迎えたいのか | 自社で活躍するために必要な考え方や姿勢、適性は何か |
| ③入社後、どう活躍してほしいのか | どこに配属し、どのように育成し、将来どんな役割を担ってほしいのか |
この3つがつながっていれば、「どんな学生と接点を持つべきか」「何を伝えるべきか」「面接で何を確認するべきか」も考えやすくなります。
反対に、ここが曖昧なままでは、スケジュールだけを整えても採用活動全体に一貫性が生まれません。
まず設計を決め、その設計を実現するためにスケジュールを組む。この順番が、新卒採用計画を立てる基本です。
②自社にとって無理のない採用人数と時期を決める
採用人数は、「必要な人数」だけではなく「受け入れられる人数」まで考えて決めます。
たとえば5人採用したいと考えていても、入社後に教育を担当できる社員が1人しかいなければ、十分な育成が難しくなるかもしれません。
確認したいのは、採用予定人数だけではありません。
- 配属先に何人必要なのか
- 誰が新人教育を担当するのか
- 現場で何人まで受け入れられるのか
- いつまでに人材が必要なのか
こうした入社後の状況まで含めて考えることで、自社にとって現実的な採用人数が見えてきます。
採用計画と育成計画を切り離さないことが、採用後のミスマッチや早期離職を防ぐうえでも重要です。
③自社に合う採用手法を選ぶ
新卒採用では、大手就活サイトをはじめ、合同説明会、学校訪問、SNSなど、さまざまな手法があります。
どれか一つが正解というわけではありません。
採用手法を選ぶときは、「どれだけ多くの学生に届くか」だけではなく、自社が採用したい学生と接点を持てるかという視点で考えます。
たとえば、地域に根差して働きたい学生を採用したいのであれば、学校との関係づくりが有効かもしれません。一方、自社の仕事が学生に知られていないのであれば、SNSなどを使って日常の仕事や社員の姿を伝える方法も考えられます。
予算にも人員にも限りがある中小企業ほど、「とりあえず全部やる」のではなく、採用したい学生に合わせて手法を絞ることが大切です。
④年間スケジュールを逆算で組み立てる
採用の目的や人物像、採用手法が整理できたら、年間スケジュールに落とし込みます。
このとき、「昨年は○月に始めたから」と前年から考えるのではなく、採用したい時期から逆算するのがポイントです。
たとえば、次のように必要な工程を書き出します。
採用目標・入社時期(ここが最終目的)
↑
内定・フォロー
↑
面接・選考
↑
説明会・会社との接点
↑
求人・情報発信
↑
採用計画の設計
このように逆算すると、「求人を出す時期」だけではなく、その前に社内で何を決めておく必要があるのかも見えてきます。
また、計画どおりに応募が集まらなかった場合に備えて、「いつ数字を確認し、どの時点で方法を見直すか」まで決めておくと、対応が後手に回りにくくなります。
年間スケジュールは、一度作ったら守り続けるものではありません。採用状況を確認しながら修正するための基準として活用しましょう。
⑤若手の将来の幹部候補を社長直轄の採用担当者にする
中小企業では、「採用担当者を専任にする余裕がない」という企業も多いでしょう。
しかし、新卒採用を会社の将来を左右する取り組みと考えるなら、誰が担当するかも重要な採用計画の一部です。
一つの方法として、将来の幹部候補となる若手社員を、社長直轄の採用担当者として3年間育てることも考えてみてください。
採用担当者は、学生に会社を説明するために、事業内容だけでなく、経営者の考えや各部署の仕事、会社の強み・課題まで理解する必要があります。さらに、学生と直接接することで、若い世代が会社や仕事をどう見ているのかも知ることになります。
つまり、採用担当を経験することは、会社全体を知る機会にもなります。
社長直轄にすることで、採用現場で見えてきた課題を経営者に直接共有しやすくなることもメリットです。
短期間で担当者を交代させるのではなく、3年間は採用に専念できる環境をつくる。新卒採用を「人事の仕事」ではなく、次の経営人材を育てる仕事として位置づけることも、中小企業だからこそ検討できる採用体制の一つです。
採用計画を「一人で抱え込まない」という選択

ここまで、新卒採用計画を見直すポイントを紹介してきました。
一方で、実際に取り組もうとすると、「自社の強みが分からない」「求める人物像をうまく言葉にできない」「何から変えるべきか判断できない」と立ち止まってしまうこともあります。
特に、採用担当者がほかの業務を兼務している中小企業では、すべてを一人で考え、実行するのは簡単ではありません。
そんなときは、採用を外部に丸投げするのではなく、第三者と一緒に自社の採用を整理するという方法もあります。
社内だけで設計することの限界
自社のことは、自社が一番よく分かっている。
これは間違いではありません。しかし、長く社内にいるからこそ、当たり前になっていて気づけない魅力もあります。
たとえば、「若手でも社長と直接話せる」「部署を越えて仕事を任せてもらえる」といった環境も、社内では日常の風景かもしれません。
しかし、学生から見れば、企業を選ぶ理由の一つになる可能性があります。
反対に、企業側では十分説明しているつもりでも、学生には仕事内容や働くイメージが伝わっていないこともあります。
自社が伝えたいことと、学生が知りたいことは必ずしも同じではありません。
社内だけで採用計画を考えていると、このズレに気づきにくいことがあります。
第三者視点が入ることで見える改善ポイント
第三者が入るメリットは、新しい採用手法を教えてもらうことだけではありません。
「なぜ新卒を採用したいのか」
「どんな社員が自社で活躍しているのか」
「学生に何を伝えれば、自社の仕事を理解してもらえるのか」
こうした問いを社外の人と一緒に整理することで、社内では言葉にできていなかったことが見えてきます。
また、応募が少ないときも、「求人媒体を変えよう」とすぐ手段を変えるのではなく、求人情報の伝え方に問題があるのか、そもそも接点を持つ学生が合っていないのかなど、原因を切り分けやすくなります。
第三者に正解を決めてもらうのではなく、自社だけでは見えにくい部分を客観的に映してもらう。
その視点があることで、自社らしい採用計画を考えやすくなります。
計画設計から伴走する採用支援という考え方
採用支援というと、「求人広告を出してもらう」「応募者を紹介してもらう」といったサービスをイメージするかもしれません。
しかし、応募を増やす施策だけではなく、採用計画の設計から一緒に考える支援もあります。
株式会社まちづくり観光デザインセンターでは、決まった採用方法を企業に当てはめるのではなく、その会社らしさを整理し、学生にどう伝えるかまで一緒に考えることを大切にしています。
企業側の採用支援だけでなく、学生の就職活動にも関わっているからこそ、「企業はこう伝えているけれど、学生にはこう見えている」という両方の視点から考えられることも私たちの強みです。
採用計画を整えたあとも、実際の面接で会社の魅力をどう伝えるのか、学生とどのように向き合うのかによって、結果は変わります。
だからこそ、計画書を作って終わりではなく、採用活動を進めながら振り返り、必要に応じて改善していくことが重要です。
自社で考えるべきことは自社で考えながら、難しい部分には外部の視点を取り入れる。
採用担当者だけで抱え込まず、自社に必要な部分から伴走支援を取り入れることも、新卒採用計画を立て直す選択肢の一つです。
まとめ:新卒採用計画を見直したいなら

新卒採用で思うような結果が出ていなくても、それだけで「採用に失敗した」と考える必要はありません。
応募が集まらない、内定辞退が続く、採用しても定着しない。こうした状況は、これまでの採用計画を見直すきっかけにもなります。
大切なのは、求人媒体を変えたり、説明会を増やしたりする前に、「なぜ新卒を採用するのか」「どんな人を迎えたいのか」「入社後にどう活躍してほしいのか」から採用を考え直すことです。
そのうえで、自社に合った採用人数や手法、スケジュールを組み立てれば、採用活動に一貫性が生まれます。それは、採用することだけでなく、入社後のミスマッチを減らし、長く活躍してもらうことにもつながります。
一方、自社のことだからこそ、強みや課題を客観的に整理するのが難しい場合もあるでしょう。
株式会社まちづくり観光デザインセンターでは、決まった採用方法を押しつけるのではなく、“その会社らしさ”を大切に、採用計画の設計から実際の採用活動まで伴走する支援を行っています。
企業側の採用と学生側の就職活動、その両方に関わっているからこそ見える視点を生かし、学生への伝え方や面接についても一緒に考えます。
「今の採用計画のどこを見直せばいいのか分からない」「自社に合った採用の進め方を一度整理したい」という場合は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
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